冷徹CEOと、一夜から始まる溺愛契約
黒いコートに白いシャツ、ダークグレーのパンツ。シンプルだけど、完璧に着こなしている。
「おはよう」
湊が、私を見て微笑む。
「おはようございます」
「……可愛い」
その一言に、耳まで熱くなる。
「さあ、行こう」
湊が差し出した手を取り、私たちは自宅を出た。
◇
マンションのエントランスには、黒い高級車が停まっていた。
湊が助手席のドアを開けてくれる。
車に乗り込むと、柔らかい革のシートが体を包む。
「どこに行くんですか?」
「それは、着いてからのお楽しみ」
湊がいたずらっぽく笑う。
車は、都心を抜けて高速道路に入った。
窓の外には、冬の気配を脱ぎ捨てたばかりの青空が広がっている。
一時間ほど走ると、車は徐々に懐かしい静寂に包まれていった。
ビルが後退し、豊かな緑が視界を占める。
見覚えのある風景に、まさかと思った瞬間――車は古い住宅街に入っていく。
そして、ある門の前で止まった。
「ここって……」