冷徹CEOと、一夜から始まる溺愛契約

「あの時は、本当に申し訳ありませんでした」

父は絞り出すような声で言うと、これまでの後悔をすべて込めるように、深く、長く、頭を下げた。

「私に力がなかったせいで、あなたから代々の仕事を奪い、苦労をかけてしまった。ずっと、心が痛んでいたんです」

「顔を上げてください。もう、過去のことです」

湊のお父さんが、優しく微笑んで父の肩にそっと手を置いた。

「あの日、庭を去る私にあなたが掛けてくれた言葉を、私は一度も忘れたことはありません。だからこそ、息子をここまで育て上げることができた」

「……桐生さん」

「それに、こうして私たちは親戚になった。これからは、家族ですよ」

「……ありがとうございます」

父の目に、涙が光る。

二人の父親が、固く握手を交わした。

湊が私の手を握る。

「良かったな」

「はい」

これで、全てが繋がった。

過去、現在、未来のすべてが、この瞬間に収束していく。
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