冷徹CEOと、一夜から始まる溺愛契約
「いちごが好きだって話。最初にバーで会ったときに、紗良から聞いたって話したけど……本当は、ずっと前から知っていた」
湊が、私の腰に手をまわす。
「幼いお前が、高嶺邸の庭でいちごを食べていた時の、幸せそうな顔を今でも覚えてる」
「そんなに前から……」
「ああ。あの時の紗良は、いちごを一粒食べるたびに『美味しい!』って言ってた」
湊が、懐かしそうに目を細める。
「あまりに可愛くて、俺はその場面を何度も何度も心に焼き付けたんだ」
あの頃。私は、何も知らなかった。
庭に湊がいたことも。湊が私を見ていたことも。
だけど、湊はずっと覚えていてくれた。私の小さな幸せまで。
「三月にこれだけ咲けば、四月には真っ赤な実がなるな」
湊がいちごの白い花を、愛おしそうに指先でなぞった。
その指が次に私の唇をなぞり、熱い視線が重なる。