冷徹CEOと、一夜から始まる溺愛契約
その先を聞く前に、私は湊の胸に手を当てた。
「湊……」
「っ!」
湊が動きを止める。
「すみません……今は、まだ……」
言葉が続かない。
本当は、このまま湊に触れていたい。
だけど、心の中のもやもやが消えない。
湊には、私に言えない秘密がある。
まだ、彼の全てを知らない。
そんな状態で、この一線を越えてしまっていいのだろうか。
「そうか」
湊が、一歩下がる。
その表情は、少し寂しそうだった。
「ゆっくり休んでくれ。無理をさせてしまったな」
「いえ……」
私は、自分の部屋へ向かった。
扉を閉めて、ベッドに倒れ込む。
湊は、何を隠しているんだろう。
三年前。私の家族が崩壊した、あの年。
湊と、何か関係があるの?
考えても、答えは出ない。
だけど、一つだけ確かなことがある。
湊は、私を大切に思ってくれている。そして、私も――。
全てを知ってから。湊が、全てを話してくれてから。
その時に、この気持ちに名前をつけよう。
窓の外では、雨が降り続いている。
雨音を聞きながら、私は静かに目を閉じた。