冷徹CEOと、一夜から始まる溺愛契約
「わかってます」
「……気づいていたのか」
「はい。華恋さんに言われたことも、湊の寝言も」
私は、湊を真っ直ぐ見つめた。
「でも――」
私は、湊の手を強く握る。
「聞かないです」
「……紗良?」
湊が、驚いたように目を見開く。
「湊が話してくれるまで、待ちます。たとえ、どんなに時間がかかっても」
私の視界が滲む。
「だって――」
喉の奥が、熱くなる。
「湊のこと、信じてますから」
その言葉に、湊の瞳が大きく揺れた。
「紗良……」
湊が私を抱きしめる。ぎゅっと強く。
「すまない。本当に、すまない……」
その声が、震えている。
「いつか必ず、すべて話す」
湊が、私の髪に顔を埋める。
「それまで、待っていてくれるか?」
答えるより先に、私は湊を抱きしめ返す。
「はい、いくらでも待ちます」
しばらく、私たちは抱き合ったまま動かなかった。
雨音だけが、静かに響いている。
やがて、湊が顔を上げた。
「紗良」
真剣な眼差し。
「俺は、お前を大切に思っている」
その言葉に、心が震える。
「最初は、契約のつもりだった。だけど、いつの間にか……」
湊の手が、私の頬に触れる。
「お前なしでは、生きていけない体になってしまった」
その言葉に、涙が溢れてくる。
「私も……私も、湊のことが――」
言いかけて、私は口をつぐんだ。
まだ、早い。まだ、この気持ちに名前をつけるのは早すぎる。
「私も、湊がいないと……もう、ダメです」
湊が、私の顔を両手で包む。
そして、ゆっくりと顔を近づけてきた。
唇が、触れ合いそうになる。
「紗良。お前は、俺にとって……」