恋に臆病な私と恋を知らなかった御曹司の距離が、ゼロになるまで
背後から抱き締められた来海は、そのまま充輝に身体を預けていく。
「…………充輝……」
「ん? 何?」
遠慮がちに名前を呼ぶと低い声が来海の耳元に落ちる。
「……あの、さっきの話……」
「……縁談のこと?」
「うん」
来海の不安な気持ちを理解している充輝は少しだけ間を置いてから、はっきりと言う。
「不安にさせてばかりで、本当にごめん。だけど、何があっても受けるつもりはないよ」
「でも……相手はNRGグローバルホールディングスなんだよ? 真白さんも言ってたけど……充輝一人の気持ちでどうにかなるような話じゃ……」
「確かに、そうかもしれない……けど、やっぱりおかしいだろ。会社の為に好きでもない相手と一緒になるなんて」
「それは……そうかもしれないけど……」
振り向いた来海が尚も言葉を続けようとした、その時だった。
充輝の指がそっと来海の顎をすくい上げて視線が重なった瞬間——
「……っ」
来海の言葉はそこで途切れていき、唇が重なったことで静かな部屋に二人の呼吸だけが残った。
そして長い口付けの後、名残惜し気に唇が離れていき、充輝は来海を見据えなが話を始めた。
「……前にさ、全てを捨てることになっても俺に付いてきてくれるかって聞いたこと、あったでしょ?」
「うん」
「その気持ちは、今も変わってない?」
「え……?」
思いがけない言葉に来海の目が大きく見開かれる。
充輝は来海の頬に触れたまま言葉を続けていく。
「さっきも言ったけど、何があっても俺は縁談を受けるつもりはない…………けど、親父は勿論引かないだろうし、相手も政略結婚には前向きだから、説得は難しい」
来海は不安そうに眉を寄せる。
「でも……全てを捨てるだなんて、やっぱり現実的じゃ……ないよ……」
「それは分かってる。簡単じゃないことも、その後の生活の心配があることも」
充輝は小さく息を吐いた。
「だけど、それを恐れてちゃ、何も変わらない。俺に残された道は、自分から行動を起こすしか無いんだ」
「……充輝」
来海はそれ以上何も言わなかった。
充輝が生半可な気持ちでこの決断をしてはいないことが分かったから。
「…………充輝……」
「ん? 何?」
遠慮がちに名前を呼ぶと低い声が来海の耳元に落ちる。
「……あの、さっきの話……」
「……縁談のこと?」
「うん」
来海の不安な気持ちを理解している充輝は少しだけ間を置いてから、はっきりと言う。
「不安にさせてばかりで、本当にごめん。だけど、何があっても受けるつもりはないよ」
「でも……相手はNRGグローバルホールディングスなんだよ? 真白さんも言ってたけど……充輝一人の気持ちでどうにかなるような話じゃ……」
「確かに、そうかもしれない……けど、やっぱりおかしいだろ。会社の為に好きでもない相手と一緒になるなんて」
「それは……そうかもしれないけど……」
振り向いた来海が尚も言葉を続けようとした、その時だった。
充輝の指がそっと来海の顎をすくい上げて視線が重なった瞬間——
「……っ」
来海の言葉はそこで途切れていき、唇が重なったことで静かな部屋に二人の呼吸だけが残った。
そして長い口付けの後、名残惜し気に唇が離れていき、充輝は来海を見据えなが話を始めた。
「……前にさ、全てを捨てることになっても俺に付いてきてくれるかって聞いたこと、あったでしょ?」
「うん」
「その気持ちは、今も変わってない?」
「え……?」
思いがけない言葉に来海の目が大きく見開かれる。
充輝は来海の頬に触れたまま言葉を続けていく。
「さっきも言ったけど、何があっても俺は縁談を受けるつもりはない…………けど、親父は勿論引かないだろうし、相手も政略結婚には前向きだから、説得は難しい」
来海は不安そうに眉を寄せる。
「でも……全てを捨てるだなんて、やっぱり現実的じゃ……ないよ……」
「それは分かってる。簡単じゃないことも、その後の生活の心配があることも」
充輝は小さく息を吐いた。
「だけど、それを恐れてちゃ、何も変わらない。俺に残された道は、自分から行動を起こすしか無いんだ」
「……充輝」
来海はそれ以上何も言わなかった。
充輝が生半可な気持ちでこの決断をしてはいないことが分かったから。