恋に臆病な私と恋を知らなかった御曹司の距離が、ゼロになるまで
 あれから二人は順番に風呂を済ませ、身支度を整えるとホテルを後にする。

 三連休の朝はまだ人も少なく、天気も良くて空気はどこか穏やかだった。

 車に乗り込むと充輝はエンジンをかけながら言う。

「まずはショッピングモールにでも行こうか。俺、スーツだから服買いたいし、突発的に出掛けること決めたから、来海も色々不便でしょ?」
「そうだね、私も色々買いたいかも」

 この休日だけは自宅に戻らずに過ごしたいと考えた二人は必要最低限の物を調達する為にショッピングモールへ向かうことにした。

 連休が終われば暫く離れ離れになる。

 だからこそ、二人はそのことを必要以上に口にはせず、楽しむことを優先した。

 車は郊外のショッピングモールへと辿り着く。

「結構大きいね」
「この辺では一番みたいだよ」
「そうなんだ」

 駐車場に車を停めて店内へ入った二人は、手を繋いで歩いていく。

 まずは腹ごしらえをとイタリアンのお店に入り、軽く食事を取った二人。

 その後は服を見たり、必要な物を買い揃えたり、他愛ない会話をしながら楽しい時間を過ごしていく。

 買い物を終えて来海がお手洗いへ向かい、近くで待っていた充輝の視界にある店が入る。

 それはジュエリーショップで、充輝はあることを思いつく。

 来海が戻って来てすぐ、

「何だか喉渇かない? 出る前にどこか入ってお茶でもどう?」

 充輝は来海をカフェに誘う。

「そうだね、そうしようか」

 充輝の誘いに頷いたことで、二人は少し歩いた先にあるカフェへと入って行く。

 注文を終えて少しして、ポケットに入れていたスマートフォンを取り出した充輝は、

「ごめん、知り合いから電話が掛かってきたから、ちょっと出てくる」

 そう言ってカフェに来海を残して店を出た充輝は急いで先程のジュエリーショップへ向かって行った。
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