恋に臆病な私と恋を知らなかった御曹司の距離が、ゼロになるまで
重たい空気が漂う中で腕を組んでいた父親は、苛立ちを隠そうともせずに傍に控えていた是枝へ鋭く声を飛ばす。
「おい」
「はい」
「充輝の行方は分からないのか?」
「……申し訳ございません。確認を続けておりますが――」
「何としてでも今日中に見つけろ」
父親のその言葉に是枝は一瞬言葉を詰まらせる。
「……手は尽くしますが、正直、今日中というのは厳しいかと思います」
「そこを何とかしろと言っているんだ」
苛立ちを隠さない声音に部屋の空気が更に張り詰めていく中、是枝はわずかに視線を落とした後、静かに口を開いた。
「……社長」
「何だ?」
「充輝様を見つけ出して……どうなさるおつもりですか? 充輝様は辞表を出したのですよね?」
「決まっているだろう。辞表など無効だ。見つけ次第すぐに先方へ謝りに行く。今後はアイツを自由にはさせん」
「…………」
それを聞いた是枝は何も言わずに沈黙すると、その様子に父親が眉をひそめた。
「何だ? 何か言いたそうだな?」
「いえ……」
「お前は余計なことを考えなくていい。充輝を見つけ出せ。いいな?」
「……かしこまりました」
是枝は一礼して社長室を後にした。
その頃、社内では既に異変が広がり始めていた。
充輝が出社していないことが騒ぎの発端だった。
「向坂さん、羽柴くんから何か聞いてない?」
「連絡とか来てない?」
充輝と来海の関係を知っている社員は多い為、昼休みに入る頃には何人もの社員が来海へと声を掛けていたけれど、
「何も、聞いてないです」
来海はそれだけを静かに答え、それ以上は何も言わなかった。
「おい」
「はい」
「充輝の行方は分からないのか?」
「……申し訳ございません。確認を続けておりますが――」
「何としてでも今日中に見つけろ」
父親のその言葉に是枝は一瞬言葉を詰まらせる。
「……手は尽くしますが、正直、今日中というのは厳しいかと思います」
「そこを何とかしろと言っているんだ」
苛立ちを隠さない声音に部屋の空気が更に張り詰めていく中、是枝はわずかに視線を落とした後、静かに口を開いた。
「……社長」
「何だ?」
「充輝様を見つけ出して……どうなさるおつもりですか? 充輝様は辞表を出したのですよね?」
「決まっているだろう。辞表など無効だ。見つけ次第すぐに先方へ謝りに行く。今後はアイツを自由にはさせん」
「…………」
それを聞いた是枝は何も言わずに沈黙すると、その様子に父親が眉をひそめた。
「何だ? 何か言いたそうだな?」
「いえ……」
「お前は余計なことを考えなくていい。充輝を見つけ出せ。いいな?」
「……かしこまりました」
是枝は一礼して社長室を後にした。
その頃、社内では既に異変が広がり始めていた。
充輝が出社していないことが騒ぎの発端だった。
「向坂さん、羽柴くんから何か聞いてない?」
「連絡とか来てない?」
充輝と来海の関係を知っている社員は多い為、昼休みに入る頃には何人もの社員が来海へと声を掛けていたけれど、
「何も、聞いてないです」
来海はそれだけを静かに答え、それ以上は何も言わなかった。