恋に臆病な私と恋を知らなかった御曹司の距離が、ゼロになるまで
怒りに震える充輝はゆっくりと息を吐いて自身を落ち着かせると、冷え切った目で父親を見据える。
「……我が父親ながら見損なったよ。あんたみたいな人間には何を言っても無駄なんだろうけど……息子として、これだけは言わせてもらう」
真っ直ぐ向けられた視線には迷いがなかった。
「自分のことを一番思ってくれる人間の言葉に耳を傾けなきゃ……あんたの周りからは誰もいなくなるよ。それに俺には、今のあんた一人じゃ会社を大きく出来ないと思う。何を一番に考えるか、誰の言葉を聞くか……それによって会社の未来は左右される。今のあんたに付いてくる人間なんて、ろくな奴じゃないだろうね……真白みたいな人間くらいじゃねぇの? 残るのなんてさ」
そう吐き捨てるように意見を述べた充輝に父親は、
「……貴様ッ!!」
顔を真っ赤にして机を叩いた。
「誰に向かって口を利いている!!」
怒りを露わにしながら言葉を続けようとするも、
「……社長」
是枝の静かな声がそれを遮った。
「何を言っても分かっていただけないのであれば……私にも考えがあります」
その言葉は父親を更に苛立たせる。
「……何だ」
「今回、充輝様の行方を探す為に……真白様に、あることを頼みましたよね?」
「それが何だ? だが結局真白は失敗しただろう? あんな奴は必要ない」
それはあまりにも冷酷な言い方だった。
けれど、是枝は静かに首を横に振る。
「いいえ。真白様は……社長に言われた通りに動きました。向坂様に近付き、充輝様の居場所を吐かせようとしましたよ」
その言葉に父親の表情がわずかに強張る。
「……社長が、“どのような手を使っても良い”と仰っておられましたから」
「……」
一瞬の沈黙の後、すぐに父親は鼻で笑った。
「そのようなことを言った覚えは無い。私には関係ない。全て真白が勝手にやったことだ」
あくまで自分は関与していないという態度を崩そうとはしなかった、その時、
「……そう、ですか」
是枝は静かに呟いた後で手元の端末を操作すると、次の瞬間――
『…… どんな手段を使ってもいい、女から充輝の居場所を聞き出せ』
室内に、はっきりとした音声が流れた。
それは紛れも無く父親の声で、
『承知しました』
続くのは大輔の声。
『それと同時に、今度こそ充輝との交際も諦めさせろ…………二度と関わらないと、本人の口から約束させるんだ』
最後に充輝と来海を必ず別れさせろという非情な言葉まで流れた後で音声は止まった。
静寂に包まれ、充輝が拳を握り締めながら父親を見据えると、これまで焦りを浮かべることすら無かった父親の顔色が明らかに変わっていた。
「……我が父親ながら見損なったよ。あんたみたいな人間には何を言っても無駄なんだろうけど……息子として、これだけは言わせてもらう」
真っ直ぐ向けられた視線には迷いがなかった。
「自分のことを一番思ってくれる人間の言葉に耳を傾けなきゃ……あんたの周りからは誰もいなくなるよ。それに俺には、今のあんた一人じゃ会社を大きく出来ないと思う。何を一番に考えるか、誰の言葉を聞くか……それによって会社の未来は左右される。今のあんたに付いてくる人間なんて、ろくな奴じゃないだろうね……真白みたいな人間くらいじゃねぇの? 残るのなんてさ」
そう吐き捨てるように意見を述べた充輝に父親は、
「……貴様ッ!!」
顔を真っ赤にして机を叩いた。
「誰に向かって口を利いている!!」
怒りを露わにしながら言葉を続けようとするも、
「……社長」
是枝の静かな声がそれを遮った。
「何を言っても分かっていただけないのであれば……私にも考えがあります」
その言葉は父親を更に苛立たせる。
「……何だ」
「今回、充輝様の行方を探す為に……真白様に、あることを頼みましたよね?」
「それが何だ? だが結局真白は失敗しただろう? あんな奴は必要ない」
それはあまりにも冷酷な言い方だった。
けれど、是枝は静かに首を横に振る。
「いいえ。真白様は……社長に言われた通りに動きました。向坂様に近付き、充輝様の居場所を吐かせようとしましたよ」
その言葉に父親の表情がわずかに強張る。
「……社長が、“どのような手を使っても良い”と仰っておられましたから」
「……」
一瞬の沈黙の後、すぐに父親は鼻で笑った。
「そのようなことを言った覚えは無い。私には関係ない。全て真白が勝手にやったことだ」
あくまで自分は関与していないという態度を崩そうとはしなかった、その時、
「……そう、ですか」
是枝は静かに呟いた後で手元の端末を操作すると、次の瞬間――
『…… どんな手段を使ってもいい、女から充輝の居場所を聞き出せ』
室内に、はっきりとした音声が流れた。
それは紛れも無く父親の声で、
『承知しました』
続くのは大輔の声。
『それと同時に、今度こそ充輝との交際も諦めさせろ…………二度と関わらないと、本人の口から約束させるんだ』
最後に充輝と来海を必ず別れさせろという非情な言葉まで流れた後で音声は止まった。
静寂に包まれ、充輝が拳を握り締めながら父親を見据えると、これまで焦りを浮かべることすら無かった父親の顔色が明らかに変わっていた。