恋に臆病な私と恋を知らなかった御曹司の距離が、ゼロになるまで【完】
 息が混ざり合い、離れることさえ惜しむように二人は何度も唇を重ね合わせる。

「来海……」

 名を呼ぶ声は低くどこか熱を帯びている中、やがて充輝はゆっくりと唇を離すと、そのまま来海の首筋へと顔を埋めた。

 柔らかな肌に充輝の舌が触れたかと思えば、確かめるようにそっと口付けが落とされる。

「……ッ」

 擽ったさと同時にじんわりと広がる熱に来海の身体が小さく跳ねるも充輝の行為は止まらず、首筋から鎖骨へなぞるように唇を滑らせていった。

 そして、まるで自分のものだと示すかのように白く柔らかな肌へ一つ、また一つと赤い印を残していく。

「……みつ、き……、ダメ……っ」

 何をされているのか理解している来海が弱々しく抗議するも充輝は悪びれる様子もなく、わずかに笑みを含んだ声で言った。

「ここなら、髪を束ねなければ見えないでしょ?」
「……でも、ッ……」

 嫌ではないけれど見えてしまうかもしれない場所に残されるのはやはり恥ずかしいと来海は思わず顔を逸らした。

 そんな様子を見て、充輝は少しやり過ぎたかと我に返る。

「……ごめん、ちょっと暴走し過ぎた……もうしないから……許してくれる?」

 しゅんとした様子の充輝に来海は上目遣いで小さく首を振った。

「……怒ってないよ……ただ、恥ずかしいだけ、だから……」

 その仕草があまりにも愛おしく感じた充輝は再び来海の唇を塞ぐ。

 今度の口付けは先程よりも更に深く熱を帯びていた。

「……っん、……はぁっ」

 息を整える暇も与えられないまま重なる唇の中で呼吸が乱れていき、充輝の指先は来海の胸元へと伸びて服のボタンに触れ……そのまま一つ、また一つと器用にボタンが外されていき、気が付けば来海の胸元は大きくはだけている。

 その事実に気付いた瞬間、来海の頬は更に熱を帯びていった。
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