恋に臆病な私と恋を知らなかった御曹司の距離が、ゼロになるまで【完】
そして、HSBホールディングスは大きく変わり続けていた。
NRGグローバルホールディングスとの協力関係により事業はさらに拡大し、海外支社では大輔が中心となって数々のプロジェクトを成功へと導いている。
社内でもその手腕は高く評価され、確かな存在感を放っていた。
一方で充輝は、これまでと変わらずシステム課に所属しながらも、少しずつ父親の元で経営の仕事を学び始めていた。
いずれ会社を背負う立場になる日を見据え、着実に経験を積み重ねていった。
そんな中でも、二人の時間は穏やかに流れていた。
両家への挨拶を済ませ、日程を合わせた顔合わせも無事に終わり、後はいつ籍を入れるか、結婚式はいつ頃にするか――そんな未来の話を重ねながら日々を過ごしていた。
しかしある日、その穏やかな日常に思いがけない知らせが舞い込んだ。
「……本当、なの?」
仕事を終えて帰宅した充輝が、不安と期待が入り混じった声で問いかけると、来海はゆっくり頷いた。
「……うん。今日、病院で診てもらったら……二ヶ月だって」
一瞬の沈黙の後、充輝の表情が一気に崩れる。
「マジか……! やべぇ……めちゃくちゃ嬉しい……!」
勢いよく来海を抱き締め、そのまま何度も頷く。
言葉にならない程の喜びが体中から溢れていた。
来海はこのところ体調不良が続いていて、それを心配した充輝が病院で診てもらった方がいいと助言したこともあって仕事を休んでいたものの、来海は何となくもしかしたらという考えも過ぎっていて、産婦人科を受診してみたら妊娠が発覚したのだ。
「……だけど、式、すぐには無理そうだね」
来海が少しだけ寂しそうに呟くと充輝は優しく微笑んだ。
「仕方ないよ。来海が望むなら、先に写真だけ撮るのもありじゃない?」
「うーん……それも考えたけど……この子が生まれてから、三人一緒に式を挙げるのもいいかなって思ってるんだ」
その言葉に充輝は穏やかに頷く。
「いいね。きっとその方が、もっと特別になる」
「うん」
まだ不確定だった式は暫く先延ばしになってしまうものの、それ以上に二人の胸は新しい命への喜びで満たされていた。
NRGグローバルホールディングスとの協力関係により事業はさらに拡大し、海外支社では大輔が中心となって数々のプロジェクトを成功へと導いている。
社内でもその手腕は高く評価され、確かな存在感を放っていた。
一方で充輝は、これまでと変わらずシステム課に所属しながらも、少しずつ父親の元で経営の仕事を学び始めていた。
いずれ会社を背負う立場になる日を見据え、着実に経験を積み重ねていった。
そんな中でも、二人の時間は穏やかに流れていた。
両家への挨拶を済ませ、日程を合わせた顔合わせも無事に終わり、後はいつ籍を入れるか、結婚式はいつ頃にするか――そんな未来の話を重ねながら日々を過ごしていた。
しかしある日、その穏やかな日常に思いがけない知らせが舞い込んだ。
「……本当、なの?」
仕事を終えて帰宅した充輝が、不安と期待が入り混じった声で問いかけると、来海はゆっくり頷いた。
「……うん。今日、病院で診てもらったら……二ヶ月だって」
一瞬の沈黙の後、充輝の表情が一気に崩れる。
「マジか……! やべぇ……めちゃくちゃ嬉しい……!」
勢いよく来海を抱き締め、そのまま何度も頷く。
言葉にならない程の喜びが体中から溢れていた。
来海はこのところ体調不良が続いていて、それを心配した充輝が病院で診てもらった方がいいと助言したこともあって仕事を休んでいたものの、来海は何となくもしかしたらという考えも過ぎっていて、産婦人科を受診してみたら妊娠が発覚したのだ。
「……だけど、式、すぐには無理そうだね」
来海が少しだけ寂しそうに呟くと充輝は優しく微笑んだ。
「仕方ないよ。来海が望むなら、先に写真だけ撮るのもありじゃない?」
「うーん……それも考えたけど……この子が生まれてから、三人一緒に式を挙げるのもいいかなって思ってるんだ」
その言葉に充輝は穏やかに頷く。
「いいね。きっとその方が、もっと特別になる」
「うん」
まだ不確定だった式は暫く先延ばしになってしまうものの、それ以上に二人の胸は新しい命への喜びで満たされていた。