恋に臆病な私と恋を知らなかった御曹司の距離が、ゼロになるまで
その直後だった。
テーブルの上に置かれていた充輝のスマートフォンが静かな室内に突如として着信音を響かせた。
その時、画面に表示された名前を来海は偶然にも目にしてしまう。
「……出て、良いよ?」
「……ごめん」
気まずい沈黙が落ちる中、来海に促された充輝は短く謝りながら電話に出た。
部屋は静まり返っていることで、通話口から漏れる声が否応なく来海の耳に届く。
電話の相手はエマで、内容は週末の夜、一緒に食事に行こうという誘いだった。
エマは充輝の目の前に来海がいることなど知る由もなく、無邪気な声で話し続けている。
充輝は一瞬だけ言葉を失い、僅かに迷った末――その誘いを受けた。
その瞬間、来海の瞳がはっきりと揺れた。
胸の奥がざわついて呼吸が浅くなる中、来海は何も言わずただ充輝の様子を見つめていた。
通話が終わり、スマートフォンを置いた充輝はまっすぐに来海を見据える。
「……ちゃんと、はっきり言うよ」
真剣な表情でそう断言された来海は思わず声を漏らした。
「え?」
「向坂さんを不安にさせないためにも、エマにはきちんと伝える」
「……伝えるって?」
「今後、誘いは受けられないって。今回で最後だって」
その言葉を聞いた瞬間、来海は彼があの誘いを受けた理由を悟った。
不安が完全に消えたわけではないけれど、充輝の覚悟が口先だけのものではないと伝わったことで、来海の強張っていた表情はほんの少しだけ和らいでいった。
テーブルの上に置かれていた充輝のスマートフォンが静かな室内に突如として着信音を響かせた。
その時、画面に表示された名前を来海は偶然にも目にしてしまう。
「……出て、良いよ?」
「……ごめん」
気まずい沈黙が落ちる中、来海に促された充輝は短く謝りながら電話に出た。
部屋は静まり返っていることで、通話口から漏れる声が否応なく来海の耳に届く。
電話の相手はエマで、内容は週末の夜、一緒に食事に行こうという誘いだった。
エマは充輝の目の前に来海がいることなど知る由もなく、無邪気な声で話し続けている。
充輝は一瞬だけ言葉を失い、僅かに迷った末――その誘いを受けた。
その瞬間、来海の瞳がはっきりと揺れた。
胸の奥がざわついて呼吸が浅くなる中、来海は何も言わずただ充輝の様子を見つめていた。
通話が終わり、スマートフォンを置いた充輝はまっすぐに来海を見据える。
「……ちゃんと、はっきり言うよ」
真剣な表情でそう断言された来海は思わず声を漏らした。
「え?」
「向坂さんを不安にさせないためにも、エマにはきちんと伝える」
「……伝えるって?」
「今後、誘いは受けられないって。今回で最後だって」
その言葉を聞いた瞬間、来海は彼があの誘いを受けた理由を悟った。
不安が完全に消えたわけではないけれど、充輝の覚悟が口先だけのものではないと伝わったことで、来海の強張っていた表情はほんの少しだけ和らいでいった。