恋に臆病な私と恋を知らなかった御曹司の距離が、ゼロになるまで
抑えきれない嫉妬心と独占欲
身体も心も繋がり合い、より一層絆を深めた二人の交際は順調だった。
職場では変わらず節度を守りつつも、帰り道や休日には一緒に過ごす時間が増えていく。
二人を隔てるものなど何もない――そう思っていたが、そんな二人の関係を脅かす兆しは何の前触れもなく訪れた。
「そういえばさ、来月の頭に関西支社から一人、システム課に異動してくるって話、聞いた?」
十一月も終わりに近づいたある夜。
仕事終わりに食事を済ませ、来海のアパートへと向かう道すがら、ふと思い出したように来海が問いかけた。
「ああ、今朝そんな話を聞いたな」
「なんでも、すごく優秀な人なんだってね」
「らしいな。まあ本社に異動してくるくらいだから、優秀なんだろうけど……」
そう答えた充輝はそこで不意に言葉を切った。
「……充輝?」
「ん? ああ……」
来海の視線を感じた充輝は一瞬迷うように目を伏せる。
「来海は総務課だから、その人とは、あんまり関わらないよね?」
「うん。直接関わることは少ないと思うよ。あるとすれば何らかの書類のやり取りくらいかな? でも、それがどうかしたの?」
問い返されて充輝は小さく息を吐いた。
「……いや、別に大したことじゃないんだ。たださ、相手は男だろ? 来海が誰かを意識するなんて思ってないけど……」
「……けど?」
「もし向こうが、来海を見て意識したらって考えたら……ちょっと、な」
言い終えた充輝の声には隠しきれない不安が滲んでいた。
職場では変わらず節度を守りつつも、帰り道や休日には一緒に過ごす時間が増えていく。
二人を隔てるものなど何もない――そう思っていたが、そんな二人の関係を脅かす兆しは何の前触れもなく訪れた。
「そういえばさ、来月の頭に関西支社から一人、システム課に異動してくるって話、聞いた?」
十一月も終わりに近づいたある夜。
仕事終わりに食事を済ませ、来海のアパートへと向かう道すがら、ふと思い出したように来海が問いかけた。
「ああ、今朝そんな話を聞いたな」
「なんでも、すごく優秀な人なんだってね」
「らしいな。まあ本社に異動してくるくらいだから、優秀なんだろうけど……」
そう答えた充輝はそこで不意に言葉を切った。
「……充輝?」
「ん? ああ……」
来海の視線を感じた充輝は一瞬迷うように目を伏せる。
「来海は総務課だから、その人とは、あんまり関わらないよね?」
「うん。直接関わることは少ないと思うよ。あるとすれば何らかの書類のやり取りくらいかな? でも、それがどうかしたの?」
問い返されて充輝は小さく息を吐いた。
「……いや、別に大したことじゃないんだ。たださ、相手は男だろ? 来海が誰かを意識するなんて思ってないけど……」
「……けど?」
「もし向こうが、来海を見て意識したらって考えたら……ちょっと、な」
言い終えた充輝の声には隠しきれない不安が滲んでいた。