恋に臆病な私と恋を知らなかった御曹司の距離が、ゼロになるまで
 その来海もセーターを脱ぎ終えて中に着ていたブラウスのボタンを外し終えて脱ぎ掛けていたところで手を止めてしまう。

「……っ」

 見蕩れている場合じゃないと思い直した来海は充輝の身体から視線を外すと、ブラウスを脱いで黒いレースの付いたブラジャーのみという姿を晒していた。

 次の瞬間、充輝はそっと来海の肩に手を伸ばした。

「……来海」

 名前を呼ぶ声は低くどこか抑えきれない感情を滲ませている中、ベッドへとゆっくり押し倒された来海の背は柔らかなシーツに沈んでいく。

 充輝が覆い被さったことで二人の距離が息が触れ合う程に縮まり、

「……いい?」

 という確認の声に来海が小さく頷いたのを合図に唇が重ねられていった。

 唇が触れ合った瞬間、来海の身体がピクリと小さく震えたのを充輝は見逃さなかった。

 重ねた口付けは最初こそ確かめるように軽かったが、すぐに深くなる。

 息を吸う間も惜しむように角度を変え、離れてはまた触れる。

 そのたびに来海の指先がシーツをきゅっと掴んだ。

「……ん……」

 ふと漏れ出た小さな声に充輝は、

「ごめん、今日は余裕無いから、優しく出来ない――」

 囁くようにそう告げる。

 その声は低く、それでいてどこか必死さを感じるもので、来海は頬を熱くしながら首を横に振る。

「……やじゃ、ない……から、……充輝のしたいように、……して?」

 来海のその言葉に理性を無くした充輝はもう一度唇を重ねると、彼の手が彼女の白く柔い肌へ滑っていった。
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