恋に臆病な私と恋を知らなかった御曹司の距離が、ゼロになるまで
「……っん、」

 擽ったさに身を捩りながら声を漏らした来海の腕が自然と充輝の背へ回り、抱き寄せるように力がこもると、充輝もまた来海の肩へ手を添え、逃がさないように抱きしめた。

 重なった唇は先ほどまでの確かめ合うような触れ方とは違い、離れることを忘れたかのように深く舌をも絡ませ合う。

 そして、一旦離れた充輝の唇は頬や耳元へとゆっくり場所を変えていく。

 触れられるたびに来海の肩が小さく跳ね、指先に力がこもる。

「みつ、……き……」
「――来海」

 触れ合いながらも、充輝の中では大輔への嫉妬心から来海を独占したい、自分のモノだと知らしめたい気持ちでいっぱいだった。

(……誰にも、渡さない)

 充輝は来海の耳元から首筋へ軽く口付ける。

 初めは触れるだけのはずだったものの、抑えが効かなくなって僅かに吸い付くと、

「っ……」

 来海は小さく声を漏らした。

「ごめん――」

 そう言いながらも白い肌に薄く残った赤みを目の当たりにした充輝は、自分のモノだと知らしめるにはこれしか無いという思いに囚われる。

 そして、今度は鎖骨の少し上――襟元が開いた服を着れば気付かれるかもしれないくらいの位置へ唇を落としていく。

「っあ、……」

 吸い付かれて声を上げる来海は、付けられたキスマークが見えてしまわないか不安になるも、これは充輝の独占欲と言葉にしきれない想いの代わりなんだと全てを受け入れていくのだった。
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