Before Dawn.
タクシーから降りると、そこは《KEEPOUT》の文字が書かれた黄色いテープが掛かっていた。
遠目でも分かる血痕やバイクの破片や散らばった鉄パイプとバット。
獲物に群がるアリの様に野次馬が居て騒がしい。
「お。久しぶりぃ」
「…………」
ニヤニヤ笑いながら《KEEPOUT》の内側から出て来たのは気持ち悪いおっさん。
私の腕を掴んで野次馬から少し離れた所まで連れて行かれた。
「早いな。葬式は?」
「…………」
「つかお前怪我だらけじゃねぇか。病院には行ったのかよ?」
「…………」
「……俺の言葉、通じてる?もしかしてショックで耳聞こえなくなったとか?」
「…………」
「え、マジ?」
「鬱陶しい」
「びっくりした。聞こえてんなら応えろよ。心配すんだろ?」
「気持ち悪い」
榊原 和俊。警察の人間。
こいつが出世出来ているのは影で私達が動いているからと言っても過言では無い。
薬を中心に取り締まりその成績で最近また出世出来たんだと連絡が来たのを思い出した。
「お前、聴取に協力しろよ」
「…………」
「まぁ、お前らには“貸り”があるから協力してやってもいいぜ?」
「…………アイツはどうなった」
「あいつ?あぁ、福澤か」
名前を聞いて、心の奥底に隠れていた殺意に再び火がつきそうになった。