愚かな婚約者様、あなたの"浮気相手"は私の味方ですよ? 〜手を組んだ2人の才女による華麗なる制裁〜
37、喜びと外へ
弾ける笑顔で何度も魔道具を試してから、カトリーヌの手をガシッと掴んで顔を近づける。
「カトリーヌさん、本当にありがとう! この魔道具凄いです! まさか私が他の皆みたいに動けるなんて……」
最初は笑顔だったライアだが、話しながら顔をくしゃっと歪めてしまった。
「これで、私も、普通に暮らせるかも……っ」
泣きながらそう言ったライアに、カトリーヌももらい泣きしそうになる。
掴まれている手を握り返して、ライアの顔を覗き込むようにした。
「ライアさん、お役に立てて良かったです。もっともっとライアさんの暮らしが楽になるようにしましょう」
「はいっ、本当に……ありがとうございますっ」
それからは泣き止んだライアに付き合ってもらい、カトリーヌはひたすら魔道具の調整をした。火や水を作り出す魔道具で家の中の生活を楽にしたり、屋台で便利に使える魔道具を構想したり、竜に乗る際の魔道具も考えた。
同時にエルベルトの魔道具も調整し、カトリーヌの額にはじんわりと汗が滲む。
「カトリーヌ、無理はするな。時間はいくらでもある」
心配そうに眉を下げるエルベルトに、カトリーヌは笑顔を向けた。
「ありがとうございます。でも大丈夫です。とても楽しいんです」
魔道具を作って、それが直接誰かの役に立っていると実感できるのは、カトリーヌにとってとても幸せなことだった。
カトリーヌの笑顔を見て、エルベルトも安心したのか頬を緩める。軽食を食べながらひたすら作業をして、夕方に一度外に出て魔道具を使ってみることになった。
「カトリーヌさん、行きましょう!」
楽しげなライアに釣られてカトリーヌとエルベルトも笑顔だ。魔道具を装着して跳ねるように家の外に向かったライアに二人も続く。
ひとまず大通りに行ってみようということになり、カトリーヌはエルベルトに抱えられた。集落ではライア以上に、カトリーヌが生きづらいのだ。
「ライア、カトリーヌがいるからお前のことはあんまり見ていられないが大丈夫か?」
「うん! 私のことは気にしなくていいよ〜。とりあえず大通りまでいくね!」
ひたすらテンションが高いライアは、そう告げるとさっそく魔道具を使って飛んでいく。そんなライアにエルベルトは苦笑しつつも嬉しそうだ。
「カトリーヌ、俺たちも行こう」
「はい。よろしくお願いします」
それから外を飛び回った結果。ライアの魔道具の扱いは全く問題なかった。むしろ完璧に使いこなせすぎていて、カトリーヌは驚きっぱなしだ。
(竜族の中では病弱判定されてしまっても、わたしたちと比べたら素晴らしい身体能力なのね)
特にライアは魔法がほとんど使えないという部分が病弱認定された理由の最たるもので、そこが解消されると一気に問題が解決に向かった。
「凄い、凄いね。どこにでも自由に行けるよ!」
ひたすら楽しそうなライアに、カトリーヌも喜びを感じる。
ライアの動きを見て、改めて集落の様子を確認して、さらに改良できる部分や、新しく作る魔道具の構想を考えた。
そんなことをしているうちに、飛び回ってはしゃぐライアに竜族の皆が気づき始める。
「もしかして、ライアか?」
「どうしたの? もしかして元気になったの?」
「外にいるなんて珍しいな」
「まあ! ライア、魔法を使えるようになったの?」
全員がライアの元気さに驚き、喜んでいた。
「はい! お兄ちゃんが魔道具師のカトリーヌさんを紹介してくれて、魔道具で普通に動けるようになったんです」
ライアの言葉に、エルベルトの腕の中にいたカトリーヌに視線が集まった。
「魔道具ってあれか。人間が使う道具だな」
「まさか、こんなに凄い道具だったのか!」
「久しぶりに人間に会ったわ。こんにちは」
「仲間のためにありがとな!」
「エルベルト、お前はいい兄貴だな」
次々と声をかけられて混乱したが、全て好意的な声掛けだったので、カトリーヌの頬は緩む。
しかし、次の言葉には思わず赤面した。
「エルベルトの恋人か?」
「可愛い子だね!」
また誤解されそうになり、カトリーヌは慌てて首を横に振る。
「ち、違います」
「カトリーヌは大切な友人です」
エルベルトもそう否定してくれて、カトリーヌは安心すると共に胸がチクリと痛んだ。
自分の矛盾した心に、戸惑ってしまう。
友人と言ってもらえるだけ、とてもありがたいことなのだと自分に言い聞かせていると、エルベルトに近づく若い女性が現れた。
「なんだ、友人止まりなのか? お前は昔から一歩踏み込まないし踏み込ませないからな〜」
「……そんなことは、なくはないかもしれないが、今回はそういう問題ではない」
「なんだ、自分でも自覚してたんだな」
「一応は」
「じゃあ、今回のことも自覚してるのか?」
ニヤニヤと笑いながら告げた女性に、エルベルトが大きな一歩で近づいて、自らの手で相手の口を押さえる。
「待て、それ以上言うな」
その親密な様子に、カトリーヌは切ない気持ちになった。
しかし割り込むようなことができるわけもなく、静かにエルベルトたちのやり取りを見守る。
(やっぱりエルベルト様には、竜族の女性がお似合いだ)
美人で健康的な女性は、エルベルトと並んだ時にとても釣り合っているように見えた。
寂しさから無意識のうちに唇を噛み締めていると、後ろから声をかけられた。
振り向くとそこにいたのは。
「ナーヴァル様」
集落に着いた時に会った、明るい竜族の男だった。
「カトリーヌさん、本当にありがとう! この魔道具凄いです! まさか私が他の皆みたいに動けるなんて……」
最初は笑顔だったライアだが、話しながら顔をくしゃっと歪めてしまった。
「これで、私も、普通に暮らせるかも……っ」
泣きながらそう言ったライアに、カトリーヌももらい泣きしそうになる。
掴まれている手を握り返して、ライアの顔を覗き込むようにした。
「ライアさん、お役に立てて良かったです。もっともっとライアさんの暮らしが楽になるようにしましょう」
「はいっ、本当に……ありがとうございますっ」
それからは泣き止んだライアに付き合ってもらい、カトリーヌはひたすら魔道具の調整をした。火や水を作り出す魔道具で家の中の生活を楽にしたり、屋台で便利に使える魔道具を構想したり、竜に乗る際の魔道具も考えた。
同時にエルベルトの魔道具も調整し、カトリーヌの額にはじんわりと汗が滲む。
「カトリーヌ、無理はするな。時間はいくらでもある」
心配そうに眉を下げるエルベルトに、カトリーヌは笑顔を向けた。
「ありがとうございます。でも大丈夫です。とても楽しいんです」
魔道具を作って、それが直接誰かの役に立っていると実感できるのは、カトリーヌにとってとても幸せなことだった。
カトリーヌの笑顔を見て、エルベルトも安心したのか頬を緩める。軽食を食べながらひたすら作業をして、夕方に一度外に出て魔道具を使ってみることになった。
「カトリーヌさん、行きましょう!」
楽しげなライアに釣られてカトリーヌとエルベルトも笑顔だ。魔道具を装着して跳ねるように家の外に向かったライアに二人も続く。
ひとまず大通りに行ってみようということになり、カトリーヌはエルベルトに抱えられた。集落ではライア以上に、カトリーヌが生きづらいのだ。
「ライア、カトリーヌがいるからお前のことはあんまり見ていられないが大丈夫か?」
「うん! 私のことは気にしなくていいよ〜。とりあえず大通りまでいくね!」
ひたすらテンションが高いライアは、そう告げるとさっそく魔道具を使って飛んでいく。そんなライアにエルベルトは苦笑しつつも嬉しそうだ。
「カトリーヌ、俺たちも行こう」
「はい。よろしくお願いします」
それから外を飛び回った結果。ライアの魔道具の扱いは全く問題なかった。むしろ完璧に使いこなせすぎていて、カトリーヌは驚きっぱなしだ。
(竜族の中では病弱判定されてしまっても、わたしたちと比べたら素晴らしい身体能力なのね)
特にライアは魔法がほとんど使えないという部分が病弱認定された理由の最たるもので、そこが解消されると一気に問題が解決に向かった。
「凄い、凄いね。どこにでも自由に行けるよ!」
ひたすら楽しそうなライアに、カトリーヌも喜びを感じる。
ライアの動きを見て、改めて集落の様子を確認して、さらに改良できる部分や、新しく作る魔道具の構想を考えた。
そんなことをしているうちに、飛び回ってはしゃぐライアに竜族の皆が気づき始める。
「もしかして、ライアか?」
「どうしたの? もしかして元気になったの?」
「外にいるなんて珍しいな」
「まあ! ライア、魔法を使えるようになったの?」
全員がライアの元気さに驚き、喜んでいた。
「はい! お兄ちゃんが魔道具師のカトリーヌさんを紹介してくれて、魔道具で普通に動けるようになったんです」
ライアの言葉に、エルベルトの腕の中にいたカトリーヌに視線が集まった。
「魔道具ってあれか。人間が使う道具だな」
「まさか、こんなに凄い道具だったのか!」
「久しぶりに人間に会ったわ。こんにちは」
「仲間のためにありがとな!」
「エルベルト、お前はいい兄貴だな」
次々と声をかけられて混乱したが、全て好意的な声掛けだったので、カトリーヌの頬は緩む。
しかし、次の言葉には思わず赤面した。
「エルベルトの恋人か?」
「可愛い子だね!」
また誤解されそうになり、カトリーヌは慌てて首を横に振る。
「ち、違います」
「カトリーヌは大切な友人です」
エルベルトもそう否定してくれて、カトリーヌは安心すると共に胸がチクリと痛んだ。
自分の矛盾した心に、戸惑ってしまう。
友人と言ってもらえるだけ、とてもありがたいことなのだと自分に言い聞かせていると、エルベルトに近づく若い女性が現れた。
「なんだ、友人止まりなのか? お前は昔から一歩踏み込まないし踏み込ませないからな〜」
「……そんなことは、なくはないかもしれないが、今回はそういう問題ではない」
「なんだ、自分でも自覚してたんだな」
「一応は」
「じゃあ、今回のことも自覚してるのか?」
ニヤニヤと笑いながら告げた女性に、エルベルトが大きな一歩で近づいて、自らの手で相手の口を押さえる。
「待て、それ以上言うな」
その親密な様子に、カトリーヌは切ない気持ちになった。
しかし割り込むようなことができるわけもなく、静かにエルベルトたちのやり取りを見守る。
(やっぱりエルベルト様には、竜族の女性がお似合いだ)
美人で健康的な女性は、エルベルトと並んだ時にとても釣り合っているように見えた。
寂しさから無意識のうちに唇を噛み締めていると、後ろから声をかけられた。
振り向くとそこにいたのは。
「ナーヴァル様」
集落に着いた時に会った、明るい竜族の男だった。