海姫物語
「なにもかも捨てて、ふたりで生きていく。それが理想だな」
「じゃあ!」
「でもできない。姫奈だってわかってるんだろ?」
「どうして? できるよ!」
ふたりでここまで来ることができた。
それならもっともっと遠くへ行くことだってできるはずだ。
「本土へ行ってすぐに傷つけられて戻ってきたのは誰だ?」
「それは……」
どうしてこんなときにそんな意地悪を言うのだろう。
姫奈は唇を引く結んでエリクを見つめた。
「俺たちは画面の中でしか見たことのないものが多すぎる。ふたりきりで生きていくとしても、知らないことが多すぎるんだよ」
「それなら、勉強すればいいじゃない。今までだってずっと勉強はしてきたんだし!」
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