海姫物語
姫奈がエリクの腕を掴んで下げさせた。
大輝はずるずると座り込み、そしてうなだれたのだった。

☆☆☆

今日の天気は快晴だった。
雲ひとつ無い空に誘われるようにして海水浴に来ている人たちがいる。
「あら、荷物を持っていくの?」
民泊の入り口で奥さんがせつなそうな声を漏らす。
姫奈とエリクはここで購入した沢山の荷物を抱えていた。
「いえ、これは一部です」
答えたのは姫奈だ。
「ここでは本当に沢山のものを頂いたので、それを全部施設に持っていくことなんてできなくて。だから、ここに置いておいてください」
それは形あるものではなかったが、でも確実にふたりが受け取った尊いものたちだった。
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