海姫物語
頭上からそんな声が聞こえてきて顔を上げた。
岩場の上に大輝が立って手を振っている。
「だ、大輝……さん」
震える声で答えると、大輝が笑った。
「浜辺まで泳げる?」
「は、はい」
姫奈は高揚を押さえて頷くと海に潜ったのだった。

☆☆☆

「昨日も思ったけど、姫奈ちゃんはまるで人魚だな」
昨日と同じ浜辺に並んで腰を下ろし、海を見つめていた。
漆黒の海面には無数の星が映り込み、それは波によって消えたり出てきたりを繰り返す。「そんな素敵な生き物じゃないです」
姫奈が答えると謙遜していると感じたのか、大輝が「それに性格もいい」と、付け加えて姫奈を笑わせた。
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