海姫物語
「姫奈ちゃんはどこの人? このあたりなんだよね?」
「はい。まぁ」
もちろん、自分が施設から来たことは言えない。
言ったとしても島全体が目視できないようになっているから信じてもらえないだろうけれど。
「どうかしたの?」
ジッと海面を見つめる姫奈に大輝が首をかしげた。
姫奈は海面を見ながらも、本当は海のずっと奥底を見つめているように感じられたからだ。
「いえ、なにも」
小さな声で答える姫奈の肩を大輝が引き寄せた。
初めて感じる異性のぬくもりに姫奈は一瞬真っ白になる。
幼い頃自分の父親に抱きしめられた経験はもちろんある。
研究員の男性に抱っこされたことだってある。
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