海姫物語
姫奈には姫奈の考え方がある。
ここを出たい気持ちだって本当はあるかもしれない。
「戻ろう」
エリクは姫奈の少し細すぎる手を握りしめて施設に近づいたのだった。

☆☆☆

ひと一人が四つん這いになってようやく通れるくらいの穴から施設内へと体を滑り込ませると、そこは掃除道具が入れられている半畳ほどの空間だった。
ふたりが立つとその空間はもういっぱいいっぱいだ。
姫奈に続いて施設内に戻ってきたエリクが外した木板をもとに戻し、掃除道具でそれも隠した。
掃除道具入れから外へ出るとそこはトイレになっていた。
ふたつの個室は閉まっていて、トイレの電気も落とされている。
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