海姫物語
「姫奈、大丈夫なの?」
朝のラジオ体操も朝食にも顔を出さなかった姫奈を心配して母親が部屋にやってきた。
姫奈は母親の顔を直視することができず、布団に顔を埋めた。
「大丈夫だよ」
「でも念の為に検査をしましょう。お父さんたちはもう準備してくれているから」
布団を引き剥がされて姫奈が困り顔を浮かべる。
その頬が赤く染まっていたから、母親は本当に姫奈が風邪を引いてしまったと勘違いしたくらいだ。
施設内で風邪をひけば、治るまであの感染者用スペースに隔離される。
それは今の姫奈にとって好ましいことだった。
大輝に会いに行きやすく鳴るのだから。
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