海姫物語
腕をつかんだくらいで顔を赤らめる姫奈ではなかった。
それが昨日今日の内になんだかひどく変わってしまったように思う。
「誰にも言わない?」
不意に姫奈からそう質問されてエリクは眉間にシワを寄せた。
「言わないって、なにを?」
「今から私が話すこと」
赤い顔のままそんなことを言われて断れるはずもない。
エリクは曖昧な表情っで頷いた。
聞いたほうがいいということは頭ではわかっている。
だけど聞きたくないと、心の中では感じている。
目の前の姫奈はエリクが頷いたことで安心したのか、表情を緩めている。
「私ね、恋をしてるかもしれないの」
姫奈の思い切った告白にエリクは一歩後ずさりをした。
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