海姫物語
「ダメだ。もう姫奈にはこの抜け穴は使わせない」
「お願いだからそんなこと言わないで」
あの抜け穴がなければ大輝に会うことも、海に入ることも叶わなくなる。
それだけは嫌だった。
「俺が悪いんだ。悪かった姫奈」
そう言ったかと思うと突然エリクがその場に両膝をついて頭を下げたのだ。
土下座になったエリクに驚き後ずさりをする。
「俺が何度も姫奈をそそのかして外に出た。だから、こんなことになったんだ」
「ちょっと、やめてよ」
思わず声が大きくなりそうになる。
外へ出られたことを後悔したことなんて一度もない。
それは姫奈にとって特別な時間で、自由を感じることのできる瞬間でもあった。
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