海姫物語
思い出すと涙がこぼれた。
男の人についていっておいてその気がないなんて、自分の方がおかしいんだろうか。
「姫奈は悪くない」
気がつけばエリクが隣に座っていて、その腕が姫奈の肩を抱き寄せていた。
一瞬見をかたくした姫奈だけれど慣れた体温と同じ柔軟剤の香りにすぐ力をぬいた。
「一般的なことはわからねぇけど、俺からすれば許可なくそういうことをするのはダメだと思う」
「そうだよね?」
相手と共になにかをしようとした場合、その許可は必要なはずだ。
エリクがしつこく姫奈のドアをノックしたように。
それに比べて大輝は無神経だった。
逃げた姫奈を追いかけるようなこともしなかった。
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