海姫物語
他の人に顔を見られるのはまだ少し抵抗があったけれど、ずっと部屋にこもっているわけにもいかない。
昨日は診察程度で終わったけれど、今度は感染者スペースに連れて行かれるかもしれない。
「スッキリしたら急にお腹すいてきちゃった」
思えば朝から何も食べていない。
昨日の夜は島から浜辺まで往復しているし、お腹がすいて当然だった。
「今日の日替わり定食はなんだろうな」
エリクがそう言いながらドアを開いて廊下に出た、そのときだった。
ブーッブーッと警告音が施設内に響き渡り、天助に取り付けられている赤色灯が回り始めたのだ。
廊下が赤く染まり、ふたりは同時に足を止めた。
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