海姫物語
大輝にこの施設への抜け穴なんて教えるはずがない。
姫奈は昨日ひとりで戻ってきたのだから。
それに、感染者スペースには警報装置が少ないとわかっていたから、エリクが抜け穴を作ることにしたのだ。
大輝は別の場所から侵入してきたんだ。
「姫奈が教えたんじゃない。お前は無理やりこの施設に入ったんだ」
エリクの言葉に大輝は肩をすくめてみせた。
「正解。でもこうして俺なんかが侵入できるんだ、セキュリティが甘いんじゃないか?」
そんなことない!
と言いかけて姫奈は口を次ぐんだ。
実際に大輝は侵入してきている。
それに大輝の後方にふたりの父親の姿を見たのだ。
「今すぐそのスマホを置いてここから出ていけ」
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