氷の法医学者と、秘密の共犯になりました
「白峰メディカルケアで確認すべきは三つ。薬剤管理の実態、訪問記録の改ざん可能性、三件の担当者間の情報共有」

「はい」

「それ以上は聞くな」

「どうしてですか」

「相手に警戒される。君は顔に出る」

「また私ですか」

「今の顔も出ている」

真鍋先輩が吹き出しそうになり、咳払いでごまかした。

私は睨みたいのを我慢した。
沢渡先生は平然としている。

その平然とした顔の横に、ふと、監察医務院での青白い顔が重なった。

ここでは完璧だ。
冷静で、正確で、隙がない。
でも、それは一枚の氷のようなものなのかもしれない。
厚く見えて、ある一点に触れればひびが入る。

その一点を、私は知っている。

私は知らず、会議室のドアの外に目を向けた。
誰も聞いていない。
誰も、沢渡先生の秘密に触れていない。

守らなければと思った。

取引だからではない。
約束だからでもない。
あの瞬間の呼吸を、他人の好奇心に晒したくなかった。
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