氷の法医学者と、秘密の共犯になりました
白峰メディカルケアは、住宅街の奥にあった。
大通りから一本入ると、急に音が少なくなる。
低層マンションと古い戸建てが混じる道。
その一角に、白い外壁の小さな建物が立っていた。

看板には、青い文字でこう書かれている。

白峰メディカルケア
在宅医療・訪問看護・地域連携相談

清潔で、穏やかな印象の建物だった。
人の死と結びつけるには、あまりに普通だ。

「普通に見えますね」

私が言うと、沢渡先生は看板を見上げたまま答えた。

「異常は、普通の中に混じる」

「先生らしいですね」

「褒め言葉ではないな」

「半分くらいは」

「残り半分は」

「嫌味です」

「正直でいい」

少しだけ、会話が続いた。
甘さはない。
親しさとも違う。
けれど、監察医務院で向かい合ったときより、ほんの少しだけ呼吸が合った気がした。

それが気のせいだと思いたくて、私は先に入口へ向かった。
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