氷の法医学者と、秘密の共犯になりました
「先生」

私は彼の前に出た。

先生の視界を、私の体で遮る。
藤堂さんの腕も、シーツの赤も、見えないように。

先生の目が、ようやく私に焦点を結んだ。

その目は、冷たくなかった。
凍った湖の下で、必死に息を探しているみたいだった。

私は声を落とした。

「先生、見なくていいです。私の声だけ聞いてください」

先生の喉が、小さく動いた。

返事はない。
でも、視線が私から逸れなかった。

それで十分だった。
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