氷の法医学者と、秘密の共犯になりました
やがて藤堂さんは落ち着き、病室へ移されることになった。
意識はある。
命は助かった。
ただし、まだ混乱は残っている。

私たちは救急医から説明を受けた。

「簡易検査で、鎮静作用のある薬剤に反応が出ています」

救急医はカルテを見ながら言った。

「ご本人の服薬歴が不明なので、現段階では判断できませんが、通常の処方量では説明しにくい可能性があります」

沢渡先生は頷いた。

「血液と尿の本検査をお願いします。警察から正式に依頼が入るはずです」

「わかりました」

「搬送前に救急隊が投与した薬剤は」

「酸素投与のみです。鎮静薬は使用していません」

「病院到着後は」

「暴れかけた時点では、まだ鎮静薬は追加していません。採血後、必要最小限で対応しています」

先生の視線がカルテの記載を追う。
顔色はまだ悪い。
でも、もう藤堂さんの血が見えないからか、いつもの鋭さが戻りつつあった。

その回復の仕方が、痛々しかった。

怖いのに、見ようとする。
苦しいのに、判断を止めない。
それは強さなのか、無理なのか、私にはまだわからない。
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