氷の法医学者と、秘密の共犯になりました
一件目。
五十二歳、男性。会社員。
自宅寝室で死亡。発見者は妻。
大きな外傷なし。既往歴は高血圧。

二件目。
七十一歳、女性。独居。
居間のソファで死亡。訪問介護員が発見。
外傷なし。持病あり。

三件目。
四十三歳、女性。飲食店経営。
自室で死亡。第一発見者は妹。
睡眠中の急死と見られていたが、沢渡先生は薬物の可能性を口にした。

眠っているみたいだった。

その言葉が三件とも同じなのが、気持ち悪い。
だけど、共通点はまだ薄い。

年齢も違う。
生活圏も完全には重ならない。
職業も違う。
接点らしい接点は、見えていない。

私は資料をめくりながら、沢渡先生の声を思い出していた。

現場の空調と気温は?
倒れた瞬間だろう。
薬物の可能性を考える。

あの人は、断定しなかった。
見えているものだけを積み重ねた。
それなのに、こちらが見落としていた細い線が、急に浮かび上がってくる。

腹が立つくらい、正確だった。
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