氷の法医学者と、秘密の共犯になりました
聴取が終わるころには、橘さんの顔色は少しだけ戻っていた。

「警察に話したこと、神崎さんに知られたら……」

「今日のことはこちらで慎重に扱います」

私が言うと、沢渡先生が続けた。

「あなたが次にすべきことは、記録を勝手に触らないことです。神崎に問いただすこともしない。あなた自身が証拠を取りに行こうとしない」

橘さんは驚いたように顔を上げた。

「でも、私も何かしないと」

「焦って動けば、神崎に警戒される。あなたが危険になるだけだ」

その声は冷たい。
けれど、内容は彼女を守るためのものだった。

橘さんもそれに気づいたのか、小さく頷いた。

「……わかりました」

「何か接触があれば、今井刑事へ連絡してください」
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