氷の法医学者と、秘密の共犯になりました
橘さんを見送ったあと、私たちもカフェを出ようとしていると、さっきとは別の店員が明るく声をかけてきた。
「奥様、お忘れ物はありませんか?」
「違います」
また先生が即答した。
けれど今度は、言ったあとに一瞬だけ私を見た。
本当に一瞬。
表情は変わらない。
でも、さっき私が「速度が傷つきます」と言ったことを覚えていたのだとわかった。
先生は「……同僚です」と言い直した。
それを聞いて、私はなぜか、笑いそうになった。
「誤情報を訂正した」
「はい。ありがとうございます」
「礼を言う内容ではない」
先生は少し眉を寄せた。
でも、その横顔は先ほどよりほんの少しだけ困って見えた。
「奥様、お忘れ物はありませんか?」
「違います」
また先生が即答した。
けれど今度は、言ったあとに一瞬だけ私を見た。
本当に一瞬。
表情は変わらない。
でも、さっき私が「速度が傷つきます」と言ったことを覚えていたのだとわかった。
先生は「……同僚です」と言い直した。
それを聞いて、私はなぜか、笑いそうになった。
「誤情報を訂正した」
「はい。ありがとうございます」
「礼を言う内容ではない」
先生は少し眉を寄せた。
でも、その横顔は先ほどよりほんの少しだけ困って見えた。