氷の法医学者と、秘密の共犯になりました
そこへ、真鍋先輩から電話が入った。

沢渡先生がすぐに応答する。

「沢渡だ。今井と旧倉庫へ向かう」

電話の向こうから、真鍋先輩の低い声が漏れ聞こえた。

先生は少しだけ眉を寄せる。

「橘の連絡内容だけでは神崎の関与は断定できない。だからこそ、現場確認は必要だ。……ああ。周辺配置を頼む。突入は、こちらの状況確認後でいい。ただし、神崎が現れた場合、あるいは橘の安全が脅かされた場合は即応してほしい」

真鍋先輩が何かからかうようなことを言ったのか、先生の表情がほんのわずか固まった。

「相棒ではない」

まただ。

胸の奥が、少しだけ沈む。

けれど、先生は続けた。

「だが、今井を一人では行かせない」

その一言に、沈んだ胸が一気に持ち上がる。

私は思わず先生の横顔を見てしまった。

先生は私の視線に気づいているはずなのに、こちらを見ない。まるで今の言葉をなかったことにしたいみたいに、淡々と通話を続ける。

「旧倉庫は白峰メディカルケアの裏手、以前は在宅医療機材の保管に使われていた場所だ。現在はほぼ使われていないが、薬剤配送バッグや古い端末を置くスペースがあるらしい。……了解した。到着次第、位置情報を送る」
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