氷の法医学者と、秘密の共犯になりました
監察医務院の屋上へ続く階段は、少しだけ湿っていた。

朝方まで雨が降っていたらしい。外へ出ると、空は淡く曇り、手すりにはまだ小さな水滴が残っていた。

雨上がりの匂いがする。

あの雨宿りを思い出す。

一本の傘の下で、肩が触れそうな距離にいたこと。先生の手が傘を少し私の方へ傾けたこと。冷たい人のはずなのに、その手が温かかったこと。

今日、先生は傘を持っていなかった。

でも、私の鞄には折り畳み傘が入っている。

あの時とは逆だと思うと、胸の奥が少しだけくすぐったくなった。
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