麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
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「モモネリア、おはよう」
「.....」
リードネストが、朝の挨拶をして部屋に入ってくる。
色とりどりの朝食ののったワゴンを押している。
「.....気分はどうだ?昨日、あのあと夕食を運んだんだが、お前がよく眠っていたから、そこに置いておいたんだ」
みると、枕元のサイドテーブルに食事がのっていた。
昨日は目が覚めず、今まで眠っていたから食事はそのまま残されていた。
「....今日は食べられそうかい?....喉が渇いているだろう?水もあるぞ。ほら。....寒くないか?温かいスープだ。お前が、何を好むかわからなかったから色々作らせた。もし、他に食べたいものがあったら何でも言ってくれ。すぐ用意する」
リードネストはテキパキと世話を焼き、自らコップに水を注いだり、お皿に取り分けたりしている。
モモネリアは、何も答えず、ただじっとリードネストの姿を見つめていた。
こんなに良くしてもらって申し訳ないが、食欲がわかない。
喋る気力もなく、水を一口飲んだだけで終わってしまった。
そんなモモネリアをみて、リードネストは苦しげに顔を歪めている。
「....モモネリア、お前の気持ちを考えずに俺は自分勝手なことをして、お前を傷つけた。許してほしいとは言わないし、俺を愛せなくても構わない。それでも、お前を失うのは耐えられない。食べなければ、いずれ体力が落ちてしまう。俺のことは嫌いでも、話してくれなくてもいいから、何か食べてくれないか。昨日から一日食べてなくて、お腹が空いているだろう?」
切ない声で、モモネリアの身を案じる言葉がかけられる。
家族にも、こんな心配されたことのないモモネリアは、不思議な感覚だった。
それでも、食べる気になれず、ゆるゆると首を振って食事を押し返す。
そのまま掛け布団を頭までかぶり、モモネリアはベッドに潜り込んでしまった。
布団越しに、リードネストが何か言っている声が聞こえるが、くぐもってハッキリ聞こえない。
モモネリアは、また重い瞼をとじた。