麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜



 小さな身体はまるで小人サイズで、おそらくモモネリアの両手に乗るくらい。




 着ている服はあまり見たことのないつくりをしている。



 光を受けてツルリと艶めく生地は白。

 見る角度によっては、夜空に揺らめくオーロラのように薄桃、紫、緑、青......細やかに色が混ざり合い、常に色彩を変えている。




 前開きになっているその服は袖と丈が長い。


 袖は大きく余裕があるため、ちょっとした小物などその中にしまって持ち運べそうなほどだ。


 丈は、これでは引き摺るのではと心配になる長さ。

 全体的にゆるく着る服らしい。

 ふんわり合わせられた前開きの部分をとめるため、腰の位置で濃紺色の紐をぐるぐると巻き、右前あたりで蝶々結びに結ってある。



 靴は細身で先端が少し尖り、くるんと上に巻いていた。


 髪の毛は濡羽色で艶があり、肩まで伸びたそれを後ろの低い位置で束ねている。


 閉じられている瞳の色はうかがい知れないが、肌は白くきめ細やかだ。



 眉や鼻、唇、気を失った状態でも整った顔であることが、すぐにわかる。



 モモネリアは見つけた瞬間硬直し、意識がないとわかるとかなり焦った。



 だが、その生き物はスースーと寝息をたてている様子で、とりあえず生きていることがわかったモモネリアは、ホッと安堵した。




 モモネリアはその生き物を放っておけず、時間が経てば陽があたり暑さも増すであろうこの場所からどこか安心して休める場所に移動させてあげようと、身を屈めた。




 .........この子、人間でも、獣人でもないわ.....。

 国境は超え、ナターシェリア国に入ったというし、他種族?

 .......ということは.....魔法使いかドワーフ、かしら......?



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