麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
それぞれの本能で、奪い、奪われながら、自然の中で必死に命を繋いでいる生き物は、生命力に溢れていきいきしている。
だから、人間の都合で狭い檻に閉じ込め、餌を与えて『愛情をそそぐ』というのは、本来の生き方ができない生き物を見ているようで胸が締め付けられて苦手なのだ。
モモネリアは、その思いからこれまで生き物を飼いたい、連れて帰りたい、などと思ったことは一度もない。
それなのに......今、モモネリアは確かにこの生き物と離れたくないと感じ、連れて帰りたいと思っているのだ。
もちろん、目の前の生き物は野生動物でも何でもないのは明らかなのだが。
それでも、『連れて帰りたい』など妙な気持ちだ。
一人残していく心配ももちろんあるが、とてもそれだけでは形容しがたい何かがある。
.......どうして?
.......そろそろ、リードの元に戻らないといけないのに。
今までの自分なら考えもしない気持ちを胸に抱いて、モモネリアは次第に焦ってきた。
戻らねば、リードネストが心配する。
だが、とてもじゃないがこの生き物を置いていけない。置いて行きたくない。
どうしたものか。モモネリアは、同じ姿勢のまま固まっていた。
そのときーー。