麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
「......おーい!そろそろ、いい?」
会話が落ち着いたところでじっと成り行きを見ていたローネルから、半ば呆れ顔で声がかかった。
「.......あ」
モモネリアは、しまったと思い、掌に視線を向ける。
そこには、プンスカと頬を膨らませてジト目でモモネリアとリードネストを見つめるローネルがいた。
「......ごめんね、ローネル」
モモネリアは、慌ててペコリと頭を下げた。
「.......そいつは?」
今、その存在に気づいた様子でリードネストがモモネリアに尋ねる。
「こちらは、ローネル。そこのお花の陰で倒れて気を失っていたから、心配で。ついさっき意識が戻ったのよ」
「.......初めまして。私は、ローネル。疲労で意識を失っていたところを、モモネリアに助けてもらった」
モモネリアに紹介され、ローネルはリードネストに挨拶した。
「........あぁ」
リードネストは、鋭い視線でローネルを射抜く。
声は低く、返事も実にぶっきらぼうだった。
モモネリアに対する甘い態度からは想像できないほどだ。
初対面ではあるが、ローネルは小さくて美しい女の子だ。
見たところ、子供ではないがまだ若いように見える。
もちろん、人間や獣人とは違う種族だと思われるので、見た目と年齢が比例しているかはわからないが。
それでも、若い女の子をそんな睨みつけるみたいに見なくても.....とモモネリアは内心ローネルがかわいそうになった。
怪訝に思いながらも、先ほどのローネルの言葉を思い出し、言いにくそうにモモネリアが口を開く。
「.......リード。ローネルがね、私たちと一緒に来たいって。......この国の子らしいし、勝手に連れ出すのもどうかとも思ったんだけど。女の子を一人にしておけないし......まだ疲れが残っていそうなの。放っておけないわ」
「.......女の子?」
リードネストがモモネリアを見て、首を傾げる。