麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜


「.........?」




 モモネリアは頷いてから、なぜ聞き返されたのか不思議に思う。


 ローネルを見れば、わかるだろう。




「.............」






 何故か三人の間に沈黙が落ちる。




 リードネストは、モモネリアからゆっくりローネルに視線を移し、眉間に深く皺を刻んだ。



 ローネルはニコニコと笑みを浮かべ、黙って二人を見ている。




「........俺には、こいつが疲れているようには見えないが」





 苛立ちと呆れが浮かぶ声で、リードネストは言った。




 それを聞いたローネルは、あからさまに目眩でふらつくフリをして、モモネリアの掌に倒れ込んだ。






「あぁ、また目眩が....」と手の甲で目元を覆って呟く。





「.........ちっ、ほら吹きめ」




 また倒れたローネルに気を取られ、リードネストの小さな声はモモネリアの耳に届かずーー。








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