麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
それがどうだ。
突然、そこに彼女が現れて、掌には.......ドワーフがいた。
ローネルがわざとモモネリアの気配を追えないように能力で妨害していたに違いない。
モモネリアの話から推察するに、彼女が俺に許可を求めてみると約束したから、力を解いたんだろう。
何故、そこまでして同行したいのか目的は不明だが。
そして.......おそらくモモネリアが見ているローネルと本当のローネルは全く違う。
........警戒は怠らない方がいいな。モモネリアを守らねば。
どこか鈍いところも可愛くて、どうしようもないほどモモネリアに溺れているリードネストは、困ったように眉を下げた。
隙をついてリードネストの手から逃げ出したローネルは、羽もないのに浮くことができるらしい。
ふわっと、まるで踊るように軽やかに宙を舞って、モモネリアの右肩に座った。
彼女は、肩に乗ってきたローネルに一瞬驚くもすぐに受け入れて、表情をやわらげると、細い指先でそっとローネルの頭を撫でた。
......あぁ、ダメだ。
それを見たら、身体が止められなかった。
リードネストはローネルを再びつまみあげ、自分の左肩に乗せる。
ベチャッと音がしそうなほど勢いよく着地した肩で、ローネルが目を見開いたあと、瞼を重くしてぶーぶー言っている。
けれどそれ以上は、モモネリアにベッタリくっついていくことはなかった。
モモネリアは、一連の流れを口元に手をあてて見つめていたが、なんとか決着がついたことを見届けると、やっぱり「ふふっ」と小さく笑った。
その声は、爽やかな空気に溶けていったーー。