麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
「な、な、なんで!?.......なんで、私は違う部屋なの~!?こんな広い部屋で一人だなんて、寂しすぎる!!」
半泣きの顔でリードネストに詰め寄るローネルは、今夜泊まる部屋に案内されていた。
馬車で今夜の宿までやって来たモモネリアたちは、まずは少し休もうということになった。
ローネルは、当然モモネリアと同じ部屋だと思っていたらしく、宿の主人にもう一部屋手配するよう頼むリードネストを不審に思ったらしい。
いざ部屋にあがると隣り合うニ部屋を、リードネストは彼とモモネリアの部屋、ローネルの部屋、として分けてしまった。
身体の小さなローネルに一部屋は確かに広すぎるし、「リードネストとモモネリアの部屋の一角にクッションでも置いてくれたらそこで寝る!」と言い張ってずっとモモネリアたちのそばで粘っていたのだが。
とうとう痺れを切らしたリードネストが、無理やりローネルの部屋まで連れてきたのだ。
「お前はこっちだ。........言っておくが、間違っても俺たちの部屋に入ってくるなよ。モモネリアの天使の寝顔をのぞいたら容赦しないぞ」
まだ諦めずに至近距離で抗議を続けるローネルに、リードネストは声をひそめて脅しをかける。
モモネリアは、二人の様子をのほほんと見守った。
それにしても、獣人とは同性相手でも嫉妬するものなのだろうか。
ローネルは、女の子だし大丈夫だろうと同行の許可を求めたが、リードネストは本心ではモヤモヤしていたのだ。
彼の態度から、察せてしまう。
確かに『喧嘩するほど仲がいい』と言うし、見ている限り気が合わないわけではないのだろう。
掛け合いが漫才のようだし、二人とも本気で嫌がっている雰囲気はない気がする。
でも、リードネストがローネルに嫉妬していることは明らかだ。