麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
彼女の左横に立っていた護衛の女性騎士、数メートル後ろに並んで待機していた数名の護衛たちが一斉に倒れた。
糸が切れたマリオネットのようにふっと力が抜け、バタバタと。
一瞬の出来事で理解ができず、護衛たちを見回す。
「........な、なに?.......大丈夫!?」
ハッと我に返り、駆け寄るモモネリア。
呼吸と心音を確認すると、生きていることがわかった。
「........いき、てるわ。良かった。........これは、一体、どうして?......まさか.....あなたなの?」
得体の知れない恐怖が襲ってきた。
人間のモモネリアですら感じる、ローネルから発せられている圧。
.....魔法だろうか。いや、ドワーフが操るのは不思議な力。
ローネルのもつ能力。
そう言えば、モモネリアはローネルとそんな話をしたことがない。
ローネルは、一体どんな力を持っているのか。
こんな状況になり、もっと気にかけるべきだったと後悔しても、今更遅い。
「.......そう。僕、のちから。僕、生まれつき他のドワーフたちより力が強いんだ。だから、いろんなことができるんだ」
まつ毛を伏せ、口元に怪しげな笑みを浮かべる。