麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜

 
 二人は、目一杯お互いのために生きた。


 しかし、とうとうある日、そんな幸せが崩れた。



 カレンが、消えたのだ。


 ロイドの前から忽然と姿を消して、どこを探しても見つからなかった。



 あの、いつもいた教会にも.....。




 こんなことなら、逃げずに彼女と話しておけば良かった。


 詳しく聞いておけばよかった......。





 ロイドは、来る日も来る日もカレンを探した。


 諦めずに色々な場所に出かけ、彼女を探した。



 そして、カレンが消えて三ヶ月が経ったその日。



 ロイドは、何故かあの教会に行かなければならない気がした。




 はやる気持ちを抑えて、教会に向かった彼は、久しぶりに愛するカレンの姿を見つけた。




「.....ロイド。.....ごめんなさい」




「......カレン!」




 カレンは彼に強く抱きしめられながら、泣き崩れた。



 しばらくして、落ち着いた頃、ポツポツと理由を語ってくれた。




「.....私、病気なんですって。あの日みた、夢は現実になって。......あなたと離れたくないのに。.......だからね、私、探したの。魔法使いのおばあさんのお店。そこには、どんな病気も治せる薬が売ってるって。ただの噂だけどって病院の先生が教えてくれて」





「.......」




「でも、ダメだった。おばあさんが、私はもう治らないって。......もう少し早かったら治せたかもしれないって言われたわ。もう遅いって」




「カレン.......」




「私.......それなら、せめて、死ぬときもあなたの隣に居たいって.....あなたに抱きしめられながら死にたいって.....そう思ったの」


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