麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
「....あのね、この桃を番同士の二人で分け合って食べると.....その番たちはまた来世でも出会えると言われてる。確かにただの云い伝えかもしれないけれど.....。少しでも
君と出会える可能性があるなら僕は試したい....」
「ロイド......」
「.....ねぇ、カレン。僕は、君と出会えて本当に幸せ。ドワーフの寿命は長い。僕が君の元にいくまで、長い時間待たせてしまうかもしれない。でも、僕はどんな時も君だけを生涯愛し続ける。今までも、これからも、生まれ変わっても.....ずっと僕は君しかいらない。だから....待っててくれる?」
とめどなく溢れてくる涙が止まらない。
言葉にしたいのに、声が震えて。
カレンは、コクコクと何度も頷くしかできなかった。
そして、二人を再び繋いでくれることを願って、まるまると艶やかなそれを分け合った。
昔から何かあるたびにカレンが来ていた教会。
祭壇のすぐそばで。
ステンドグラスのあたたかな光の中で、二人は来世での約束を交わすーーー。
しばしの別れ。
またいつか会える。
それは、二人の中に希望をもたらした。
「.....私、来世であなたをちゃんと見つけられるかしら」
「.....大丈夫。僕が探しにいくよ。必ず見つけるから。だから....覚えてて。僕のこと。桃を二人で食べたことも」
「......えぇ」
「ふふ.....ほんとかなぁ。カレンはおっちょこちょいだから」
「あー....また言ったわね」
プクリと頬を膨らませるカレン。
ロイドは、カレンを目に焼き付けた。
また見つけられるように。
君を探し出せるように。