麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
13.だから君を
それから、二人は死が別つときまで寄り添い続けた。
寿命の長いドワーフにしては、確かにカレンの一生は短かった。
でも、最期の瞬間彼女は笑っていた。
愛する人の腕の中で。
確かに幸せを感じて。
彼女が去ってからも、ロイドは懸命に生きた。
時には、どうしようもなく寂しくて、押し潰されそうな夜もあった。
でも、その度にあの日二人で食べた桃を思い出して、笑顔で生きた。
来世でまた出会えたとき、残りの人生をどう生きたのか自信を持って彼女に話せるようにーーー。
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「....ねぇ、モモネリア。......いや、カレン。.....これでも思い出さない?」
泣き笑いの表情で、ローネルは尋ねた。
「......覚えて、ないわ」
「.....そっ、か....。ふふ、君らしいや。君は、おっちょこちょいだから」
「.........」
「いいよ、覚えてなくても。その分、僕が覚えていよう」
覚えていないモモネリア、いや、『カレン』を責めるでもなく。
心の底から愛する者に向ける、優しげに細められた目。
それをモモネリアは、ただ呆然と見つめる。
覚えていない。
でもーーー。
確かに、ローネルに出会ってから不思議な感覚に陥ることはあった。