麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
「......覚えて、いないの」
「......カレン?.....さっきも言っただろう?.....覚えていなくても、いい。僕がその分覚えているって」
「......そうじゃないわ、ローネル。.....私は覚えて、いないの。だから、私はカレンじゃ、ないわ」
「......いや、君はカレンだ!.....僕の愛しい人!」
「いいえ、違うわ。私はわたし。確かに、カレンの魂はこの身体にあるのかもしれない.....。でも私はモモネリア。彼女じゃないの。......あなたが愛しているのは彼女でしょう?私ではない。.....リードは私自身を、モモネリアを愛してくれているわ」
「......違う!僕は君を愛してる!」
「.....あなたは、私ではなく、“カレンの魂“を愛しているのでしょう。....そして、私もあなたを愛していない。....私は....私は、リードを愛しているの。......ごめんなさい、ローネル」
「.....っ!!......そんな....どうして.....カレン。......僕は.....僕は.....君を、こんなにも......っ」
スッと、ローネルの琥珀色の瞳から光が消える。
本来美しい宝石のような瞳は、今はただ真っ暗な感情をたたえ、涙の膜を張っていた。
「カレン.......」
ローネルが、今にも消えそうなか細い声で呟いた瞬間ーー。