麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
「モモネリアっ!!」
勢いよく駆け寄ってきたリードネストは、モモネリアの全身をくまなく確認する。
「無事か?......怪我は!?何もされなかったか!?」
「.....リード。......えぇ、何ともないわ。来てくれてありがとう」
潤んだ瞳で心から微笑むモモネリアを見て、リードネストがホッと息を吐いたのがわかった。
そして、次の瞬間にはぎゅうっと胸が苦しくなるほど力強く抱きしめられていた。
「.......無事で良かった」
リードネストは、モモネリアの肩に顔を押し付け、長い息を吐きながら呟く。
その手や肩は小さく震え、鼻をすする音もした。
モモネリアは、ゆっくりとリードネストの背に腕を回した。
走ってきたのだろう。シャツが汗で濡れ、乱れていた。
服に皺が寄るほど強く握って、モモネリアも彼の震える肩に頭を預け、リードネストという存在を感じたーーー。
*******
しばらく抱き合っていた二人は、外に待たせていた馬車に乗った。
馬車へ向かう途中、今起きたことをリードネストに話す。
ローネルも私のもう一人の番で、私の中に二つの魂が宿っていることを知って、リードネストはかなり驚いていたが何も言われなかった。
そういえば、リードネストはローネルが男の子だとやはり知っていて、理由も予想通りだったようだ。
それから、ゆっくり走り出した馬車だったがしばらくしてどこかに到着し、とまった。
疲れもあって、リードネストに寄りかかって眠ってしまっていたモモネリアが身じろぎして、目を開ける。
短時間でも眠ったため、疲れはマシになっていた。
宿に到着したのだろうかと思ったが、どうやら違うらしい。
リードネストは「少し冷えるから」と、さきほど教会で汚れ、脱いだストールとは別のストールを肩にふわりとかけてくれた。
そして、二人で馬車を降りる。
すでに外は日が沈み、空が藍色に染まっていた。
薄暗い中、モモネリアとリードネストの目の前にぼんやり広がっていたのはーー。